思い浮かべたらいかん。
このラーメンは私にとって少々やみつきになってしまったラーメンのひとつだ。
福岡のラーメンと言えば「とんこつ」が当たり前だった。
若い頃には長浜ラーメンを食べ、〆(しめ)ラーメンと言って飲んだあと帰る前に食べるのもとんこつラーメンだ。
博多といえば屋台というのは観光客だけだと思うが、ほとんどの屋台はとんこつラーメンだ。
ちなみに、福岡市内に住んでいるひとは「屋台」には行かないものだよ。
そんなとんこつラーメンで育った私が醤油ベースのラーメンに惹かれているというのもおかしなもんだが、あまり食べてこなかった醤油ベースのラーメンが単純に美味しいからだ。
この店は、近くのビアパディフクオカというクラフトビールのお店からの帰りに見つけたのだ。
もう食べきれない、でも食べてみたい、と店に入ると入口の右側に食券販売機があり、左方向にカウンター席が6席だけある小さなお店だ。
食券販売機に向かうと「当店の麺は通常の1.5倍あります」というような注意書きがあったのを思い出す。
その日は、既にお腹がいっぱいだったので、ラーメン1杯が入るものかと不安に感じていたのに、この店は1.5倍と書かれているのに衝撃を受けた。
しかし、すんなり入ってしまうもので、「お腹いっぱい」という感覚もあてにならないと思った。
通常は「お腹いっぱい」だと美味しく感じない事が多いものだが、この日はそれでも珍しい醤油ラーメンが美味しく感じたのだ。
さて、今回はというと、「コロナ騒動」で外出自粛と言われたり、他の客と一緒になりたくないという気持ちもあり、静かに店のドアを開けてみた。
店内には1名のお客様がカウンターに座っておられた。
例の食券販売機で「ラーメン(800円)」を買い、席に着く。
ご主人に食券を渡してしばし待つ。
店内には落語が流れている。しかもBOSEのスピーカーで。
落語のポスターなども貼られている事を見ると、ご主人はかなりの落語好きと見える。
そうこうしていると、ラーメンが出来上がり、ご主人が運んでこられた。
いつものように写真を撮影。
絶対に美味しく撮影しようと思うのだが、いつもこんな感じに仕上がってしまう。もう少し上手に美味しく撮影できないものか。
さて、いつものラーメンと同じように、スープから頂く。
博多のラーメンとは違っているが、これはとても美味しい。
もう1杯スープをすする。
メンマを1本。
メンマと言えば、この店に来るたび、ご主人はいつも何らかの作業をされている。
注文が入れば、ラーメンを作られるのはもちろんだが、私が見た中で最も多いのは「メンマの引き裂き」作業だ。
大きなかたまりを少しずつ小さなかたまりに引き裂き、最終的にはこのラーメンに入るまで小さくなる。
メンマって原型を見る事がほとんどないが、こんなにもかたまりだったとは知らなかった。しかもタケノコなんだね。
話がそれたが、ここでやっと麺に箸をのばす。
福岡のトンコツラーメンに比べると太くて若干縮れている。
醤油ベースのスープに合っていて美味しい。
忘れていたが、ここのチャーシューは少し厚めのものが2枚入っている。
個人的には半分の薄さで良いと思うのだが、これはこれで食べごたえがあっていい。
麺を茹でている間に大きなかたまりから2枚を切ってくれる。
そう、切りたてだ。
ここからは、もくもくと麺とメンマと、時々チャーシューを交互に食べながら完食してしまう。
最後、なんどもスープをやめようとするが、やめられなかった。
美味しいスープだ。
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